自分の体験した怪異に尤もらしい名をつけて紹介してみる

実は私は、これまでに数え切れないほどの怪異に遭遇してきた。そのほとんどが、インターネットや文献で調べても、それらしいものが発見できないものだ。もちろん、『紙舞』のような怪異にも遭遇しているが、片手で数えられるほどだ。


これから、自分の思い出せる範囲で、今まで遭遇した怪異を紹介してみる。

鴉菱(からすびし)

中学一年の夏。テスト期間で早々と家に帰ってきた自分は、鍵を忘れていたことに気付き、家に入れなかった。仕方がないので、かばんを玄関前に置き、制服姿で近所を散歩することにした。


家から出てすぐ西に川があるのだが、どうしてだか自分は反対の、東のほうにある川沿いに行き、散歩を始めた。川沿いをずっと歩き続けると、自分の通っていた場所ではない、別の小学校にたどり着く。そこをゴール地点とし、歩き始めた。


せっかくだからランニングにしよう。


途中から走りはじめた。


そして、疲れたためにその場で立ち止まった。夕方になる少し前の時刻だった。


ふと横を見ると、目の前にある電柱近くに、4~5メートルほどの高さのところに、カラスより一回り大きい、菱形の真っ黒い物体が浮いていたのだ。


最初はカラスかと思ったが、綺麗な菱形をカラスが出来るはずもない。


五分間の沈黙が始まった。自分の目は見開き、口は唖然とし、出てくる言葉は全て「なんだあれは」。


当時より前から、妖怪や怪奇現象の類は好きだったので、怖いという感情は表れなかったが、その異様な光景には、好奇心を抱かずにはいられず、おそらくカメラや携帯を手にしていたならばすぐに撮影していただろう。


発見してから五分が経つと、黒い菱形の物体は、高さを変えず、平行移動をするように奥へと進み、突然その場からパッと消えた。


一年後に人力検索はてなでも質問し、正体は一応『スカイフィッシュ』で決着をつけましたが、調べて出てきた写真と記憶を比較しても似てはおらず、いまだ謎のままです。

【当時の質問】
http://q.hatena.ne.jp/1312669957


UFO、未確認非行物体のこの怪異。


自分は『鴉菱』としたが、これは『カラスのように黒い菱形の物体』という意味を込めております。